てぬぐいができるまで

てぬぐいができるまで

鳥海:

今年のチプサンケも終わりましたね。

二風谷ワークスでは2023年から出店して、今年で4年目でした。


萱野:

チプサンケは、二風谷で毎年行われている舟おろしのお祭りですね。

もともとは新しい舟を初めて水に浮かべる時に行う儀式ですが、舟を作る機会が減り、舟を操る技術も伝えられなくなっていく中で、祖父の萱野茂たちが文化を残していくために復活させ、毎年の行事として続いてきました。

二風谷で行われるアイヌ文化に関係する催しの中でも特に多くの人が訪れますし、毎年楽しみに来てくれる方もいます。

そこで二風谷ワークスでも、毎年デザインを変えたチプサンケTシャツを作っています。


鳥海:

去年はTシャツのほかに、今治タオルシリーズのハンカチやフェイスタオルも持っていきました。

その時に「もう少し気軽に買えて、お土産にも選びやすいものが欲しいよね」という話になって、そこで今年、新しく作ったのがてぬぐいです。

実際に販売してみたら、想像以上に好評でした。


萱野:

本当に人気でしたね。

特にアイヌ文様を使った「rittunna(リットゥンナ)」は、Instagramで紹介した時から反応が良くて。

イベント当日もたくさん買っていただきましたし、その後オンラインショップでもあっという間に在庫がなくなりました。


鳥海:

一分刻みで注文が入っていくのを初めて見ました(笑)。

「こんなてぬぐいが欲しかった!」というお声をいただいて、世の中の需要にうまくはまったのかなと思います。



登山で使ってみて、「これは作りたい」と思った

 


萱野:

そもそも鳥海さんは、前からてぬぐいを作りたかったんですよね。


鳥海:

そうなんです。

数年前から夏に北海道の山を登るようになったのですが、登山でてぬぐいがすごく重宝するんですよ。

薄くて、汗を拭いてもすぐ乾くし、帽子の下からかぶれば顔の横の日除けにもなりますし、実際に山へ行くと、てぬぐいを使っている人が本当に多いんです。

以前からお客様にも「アウトドアで使える薄手のタオルが欲しい」という声をいただいていたので、二風谷ワークスで作るなら、まだやったことのないてぬぐいがいいんじゃないかと。


萱野:

今治タオルとはまた用途が違いますよね。

てぬぐいは薄いから持ち運びやすいし、頭や首に巻くのにも使いやすい。


鳥海:

そうですね。ただの一枚の布だからこそ使い方はその人次第。

旅行のお土産にもいいと思います。かさばらないし、割れないし、価格的にも選びやすい。

いろいろな柄があるから、集めたくなる楽しさもあります。


萱野:

旅行先で布ものって買いやすいんですよね。

荷物に入れても場所を取らないし、壊れる心配もない。


鳥海:

自分のお気に入りの柄を身につけて、ちょっと個性を出せるのもてぬぐいの面白さだと思います。



あえて10cm長い、100cmのてぬぐいに

 


萱野:

二風谷ワークスのてぬぐいは、一般的なものより少し長く作っているんですよね。


鳥海:

はい。今回は香川のメーカーさんにお願いして作っています。

一般的なてぬぐいは長さ90cmくらいのものが多いですが、実際に頭や首に巻いてみると、もう少し長さが欲しいなと思って。

それで10cm伸ばして、100cmにしました。


萱野:

僕のばあちゃんに見せた時も、「これなら頭からかぶって、顎の下で結べるからいいね」って言っていました。


鳥海:

そう言ってもらえて嬉しいです。



「使うもの」であり、「飾れるもの」でもある

 


萱野:

今回のてぬぐいは、アイヌ文様を使った「rittunna(リットゥンナ)」と、アイヌの民具をイラストにした「ainu mingu」の二つがあります。


鳥海:

アイヌ文様のてぬぐい自体は、世の中にあるにはあるんですが、もう少し自分が本当に欲しいと思えるような、心ときめくものを作ってみたいという気持ちがありました。

特に意識したのが、一枚の布として見ても絵になること。使うだけではなく、壁に飾っても様になるようなものにしたかったんです。

てぬぐいの細長い形に合わせて、広げた時にも美しく見える文様を描いてほしいとお願いして、馳さんにデザインしていただきました。

普段の二風谷ワークスでは、あえて伝統的な色から離れて現代的な配色にすることもありますが、今回は初めてのてぬぐいということもあって、伝統的な衣装に近い色合いにしました。


萱野:

壁に掛けてもすごくいいですよね。rittunna(リットゥンナ)もainu minguも、使うだけじゃなくインテリアとして楽しめると思います。



アイヌの「民具」を一枚のてぬぐいに

 


鳥海:

「ainu mingu」の方は、私自身が民藝品を見るのが好きというところから始まっています。

旅行に行くと、その土地の焼き物を買ったり、美術館や民藝館に行ったりすることが多いのですが、例えば沖縄なら「やちむん」が描かれたてぬぐいがあったり、民藝館に行くと日本各地の民藝品を並べたてぬぐいがあったりする。それがすごくかわいくて。

「これのアイヌ民具版って、見たことがないな」と思ったんです。

かわいいだけじゃなく、そこから「これは何に使う道具なんだろう?」とアイヌ文化を知るきっかけにもなるし面白いかなって。


萱野:

商品ページでは、描かれている民具についても紹介していますよね。


鳥海:

はい。民具の名前と、どのように使われてきたものなのかもコラムで紹介しています。

民具についてのコラムはこちら


萱野:

その解説は、祖父の萱野茂が残した『アイヌの民具』を参考にしています。今はなかなか手に入りにくい本ですが、本当に図鑑のようにいろいろな民具が記録されています。

今回のイラストを入口にして、本来の民具や、その背景にある文化にも興味を持ってもらえたらいいですよね。



てぬぐいは、自由に使ってほしい

 


鳥海:

てぬぐいの使い方として特におすすめしたいのは、私はやっぱり登山やキャンプ、フェスなどのアウトドアですね。

旅行にも便利です。一枚持っていって、夜に洗って干しておけば翌朝には乾いているので、何枚もタオルやハンカチを持っていかなくて済みます。

以前、海外旅行中に、雨上がりで駅のベンチが濡れていた時、てぬぐいを広げて敷物にしたこともあります。


萱野:

本当に「ただの布」だからこそ、何にでも使えるんですよね。


鳥海:

そうなんです。

汗を拭く、首に巻く、頭にかぶる、温泉に持っていく、家の手拭きにする。

夏なら冷たい水に浸して首に巻いてもいい。

「てぬぐいって、どうやって使えばいいんですか?」と聞かれることもありますが、本当に自由に使ってもらえればと思います。


萱野:

ぜひ皆さんがどう使っているかも見てみたいですね。


鳥海:

オンラインショップのレビューにも写真を投稿できるので、「私はこんな使い方をしています」というのをぜひ教えてください。


萱野:

僕らも「そんな使い方があるのか」と参考になるし、そこからまた新しい商品が生まれるかもしれない。


鳥海:

ぜひ、皆さんなりの使い方で楽しんでもらえたら嬉しいです。

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アイヌ工芸を次世代へ残していく

私たち二風谷ワークスは北海道の平取町二風谷で、若手職人に継続的な仕事をつくり、代々受け継がれてきたアイヌの工芸を次世代へ残すというビジョンを掲げ、2022年3月にスタートした企業です。

二風谷に残るアイヌの伝統文化を多角的な視点で取り入れ、デザインや工芸を通じて、未来に繋がる新たな価値を創造する事が私たちの使命です。

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